頭の上の蝿を追え

しがない某京大生が日常を綴る

武奈ヶ岳スノーハイク

大阪と京都を行き来する日々の私には、雪は縁のないものである。少年時代には、少しの積雪でも興奮して雪遊びに励んでいたものである。

しかし、京都と滋賀の県境、つまり比良山系に雪が積もり樹氷さえも見れることを知った。雪に対して憧憬の念を持つ私には行く以外の選択肢はなかった。以下の文は、去年の12月の出来事である。

今回登る山は、比良山系武奈ヶ岳。そんな標高の高い山ではなく1,000mほど。そんな手軽な山でも存分に雪景色が楽しめるのだから楽しみだ。

出町柳駅から麓の坊村までバスで約40分ほど。すでに坊村あたりから雪は僅かに積もっている。登山靴にアイゼンを装着し準備は万端。山に詳しい友達に先頭を率いて貰い徐々に高度を上げていく。

ある程度、標高が上がってくればすでに周りは樹氷の世界。

山頂に到着する。標高1200m。この日は天気がそんなによくなく周りを雪が吹きすさぶ。山頂で昼食なのだが、寒すぎて食べ物を食べる気力が起きない。確か−4℃ほどだった記憶がある。家から温かいお茶を入れてきたことが本当に助かった。身も心も温まるとはこのことをいうのである。

しかし、ご飯を食べていると徐々にあたりが開けてくる。武奈ヶ岳は、天気が良ければ琵琶湖を一望することができるのだ。

景色を堪能したらさっさと下る。そんな寒さに追われているときでもふと上を見上げれば、一面を樹氷が覆っている。こんなに雪を見たことがない私は素直に感動した。

下山していると雪が靴に入ってとても冷たい。帰宅してから靴を脱いで下に向けると両靴合わせて1リットル弱ほどの雪解け水が出てきた。それは冷たいはずである。もう「ただいま」の挨拶さえも言わず、大急ぎで風呂に向かった。この日ほど暖まる風呂はない。