頭の上の蝿を追え

しがない某京大生が日常を綴る

就職活動を終えたい

お久しぶりです。更新をサボっているうちに、僅かながらも応援していただいた方の多くは、離れてしまったかもしれない。

 

更新をサボってしまった理由。それは単純で、就職活動が私を襲いかかってきたからだ。今年、大学4年生を迎える私は、世捨て人になる選択肢を選ぶ勇気がなかった。

 

私は、メディア業を軸に据えて就職活動を続けていたのだが、就職活動を通じて新たな気付きも多かった。読者の中には、今後就活をする人や、就活なんてとうに終えて、社会人になっている人もおられるかもしれない。そんな両者にも、有意義な情報を伝えたい。

 

今回は、特に新聞業について述べたいと思う。

新聞業は、「若者の紙離れ」もあって、購読数は右肩下がりだ。そのために、各社は工夫を凝らしてなんとか新聞業を維持しようと努力をしている。各社の特徴をまとめたい。

 

朝日新聞

業界人と世間一般の評価が最も乖離してる新聞社。世間一般的には、革新的な新聞社の筆頭という認識で、捏造記事(吉田調書、サンゴ礁問題)のせいで、特に保守派からの信頼はないに等しい。それでも購読者数は、読売新聞についで第2位。

 

しかし、業界人からは「読み応えのある面白い記事が多い」と好評。そもそも、朝日新聞社(どこの新聞社も基本そうなのだが)は、取材の方針を、各々の記者に任せている。だから、会社として記事を書いているわけではないから、会社全体を叩くのはお門違いなのである。

 

朝日新聞の強みは、やはり政治部朝日新聞の記者は、政治家と論争をよくするが、それもやはり「朝日の記者はよく勉強をしている」という信頼があってこそのもの。実際、橋下徹大阪府知事も「朝日の記者は信頼できる」と言っていたらしい(記者談)。他にも、弱者に焦点を当て、弱者から問題提言をすることも多く、社会面にも面白い記事が多い。

 

新聞記事だけではない。プロジェクトも革新的だ。新聞社の中で、最もデジタル版を手掛けたのは、日本経済新聞社だが、総合紙の中で最も早くデジタル版に力を入れ始めたのは朝日新聞朝日新聞デジタルは、総合紙の中では会員数は最も多い

 

朝日新聞社は、各新聞社の中でも待遇はかなり良い方。平均年収は約1200万。それほどの給料を支える朝日新聞社の収入源になっているのは、不動産業。大阪の中之島フェスティバルタワー、東京の有楽町マリオンなど、優良物件を数多く有している。しかし、そんな朝日新聞でも、本業の新聞が苦しい立場にいるのは確か。記者の人員を削減している。

 

読売新聞社

読売新聞は、購読者数日本1位、どころか世界でも1位の巨大な新聞社。革新的な朝日新聞社とは違って、読売新聞社は保守的な論調が多いといわれている。読んだ感じ、保守的というよりは中道。政治や事件の情報を、なんの偏見も入れずに仕入れたいと思うなら、読売新聞がふさわしい。(やはり、朝日新聞社は、革新的な論調が多く、多少なりとも意見の偏りはある。)

 

読売新聞社の強みは、社会部。最大の新聞社ということもあって、一つの事件、事故にかけることのできる人員が他社とは全く違うらしい。そのぶん、得ることのできる情報も多く、特ダネ競争は読売新聞社がリードすることが多い。さらに、「スキャナー」、「特集」、「論点スペシャル」などの欄で、一つのニュースに対して多角的な報道をおこなう。日常的に感じる疑問や、ニュースの疑問を解きほぐす記事が多く、一つの読み物として面白い。さらに、地方に割く人員も最も多い。そこらへんの地方紙よりも地方版が充実していることもよくある。

 

読売新聞は、論調だけではなく取り組みにも保守的。各社が、デジタル版に力を入れる中、読売新聞は「紙」を大事にしている。紙の購読者数が最も多いこと、各社がデジタル版をなかなか収益化できていないことを踏まえた判断かと思う。ちなみに、読売新聞オンラインは、紙で購読している人のみ利用することができる。

 

読売新聞社は、平均年収を明らかにしていない。しかし、最もシェアの高い新聞社であることを踏まえると、朝日新聞社に引けを取らない給与水準であるだろう。読売新聞社は、多角的な経営に成功している。東京、大阪、西部(九州)に存在する本社、日本テレビ読売巨人軍を、グループ本社の一部として経営している。さらに、朝日新聞社と同様、不動産業も強いマロニエゲート、読売会館(有楽町にあるビックカメラの入っているビル)は、読売新聞社の不動産である。

 

日本経済新聞社

日本で最も売れている経済専門紙。ビジネスマン必携と言われている。論調は中立。経済金融をメインに扱ってきたこともあり、データを重視する傾向にあるらしい。

 

日経新聞の強みは、いうまでもなく経済、金融。経済や金融のニュースを報じるために分析班なども設ける手厚さぶり。さらに、連載企画であった「データの世紀」は新聞協会賞を受賞するほどの企画。AIが今後私たちの生活に与えうる可能性を報じた。AIが生活の細部に関わりうること、それが本当に望むべき未来なのかということを考える契機になった。そういう意味では、とても面白い記事だった。

 

日経新聞は、かなり革新的だと思う。五大紙(読売新聞、朝日新聞日経新聞毎日新聞産経新聞)に先駆けてデジタル版である「日経電子版」を開発。最も購読者数は多い。さらに、「アジアの経済ニュースを発信する拠点になる」と息巻いており、イギリスのこれまた大手経済紙「フィナンシャル・タイムズ」を買収した。

 

日経新聞の平均年収も高い。確か、朝日新聞、読売新聞と同等だったと思う。日経新聞は、デジタル版の収益化に成功した数少ない新聞社である。そのぶん、余裕があるのだろう。

 

共同通信社

実は、共同通信社も新聞の発行にかなり携わっている。共同通信社は、地方新聞に記事を出している会社。地方新聞は、拠点とする地方に記者を抱えるが、自社のある地方以外には人を配置しない。そのため、全国ニュースを仕入れることができないのだ。そこを補うのが共同通信社地方新聞の紙面の7割を埋めているのが共同通信社の記事であることも多く、地方新聞の1面の方針も共同通信社が決めている。そのため、地方新聞の1面を比較した際に、ほとんど構成、記事が同じこともよくある。共同通信社は、地方新聞にとってなくてはならない存在だ。共同通信社が潰れると、地方新聞は潰れる。

 

共同通信社は、地方新聞に、全国ニュースを届けるという仕事柄、地方のニュースを全国の人が読んだときに面白いと思うか、という独特な視点が求められる。要するに、他の地方の人が読んだときに、そのニュースを応用できるかどうかだ。そのため、記事に方針はない自由な取材共同通信社の売りだ。極端なことをいえば、事件が起きなければ、サボってもいい。他社と違って「紙面を埋める必要性がない」からだ。

 

さらに海外への発信も強み。海外の人が日本のニュースを受け取るときは、共同通信社のニュースであることが多い。ロイター通信、AFP通信、新華社通信とならぶ世界でも屈指の通信社である。

 

共同通信社は、「一般社団法人」であるため、自由な経済活動は許されていない。しかし、そのぶん、共同通信社の記事を受け取る地方新聞や、NHKをはじめとする「加盟社」が、共同通信社に一定の金額を納めている。そのため、収益は常に一定数確保している

 

毎日新聞社

かつては読売新聞、朝日新聞としのぎを削った新聞社。論調は革新寄り

 

毎日新聞社は、新聞協会賞を最多受賞した経歴を誇っている。実際、業界人からも毎日新聞の評価は高いようだ。名物コーナーになった「記者の目」。これは、社の論調にとらわれず、現場の記者が思った意見を述べるというもの。読者の好評企画となった。

 

しかし、毎日新聞社は非常に大きな問題を抱えている。それは、金銭的な余裕がないということだ。上記の3社は、経営基盤も安定している。一方で、毎日新聞社は、借金を多く抱えている。給与水準も、上記4社とは全く違う。地方の人員も不足しており、地方記者は疲弊しているそうだ。今のままでは、毎日新聞社が、東京、大阪を拠点にした地方新聞になってしまう可能性は高い

 

体力がなくなってきたので、ここで終えたい。産経新聞毎日新聞とよく似た状況にある。今後、五大紙とは言われず、三大紙(読売新聞、朝日新聞日経新聞)になってしまう未来は近いだろう。