頭の上の蝿を追え

しがない某京大生が日常を綴る

東北チャリ 其の3

5日目の朝を深浦町で迎えた。

海岸沿いをずっと走っていると「千畳敷」といわれる景勝地がある。大概、海岸沿いで千畳敷と名のつく観光地は、だだっ広い岩が広がっているだけなのだが、青森県千畳敷は違った。岩の色が奇妙なのである。地学は疎いのでどうしてこのような岩の色になるのかはわからない。しかし、青色とも緑色ともいえない不思議な色の岩が広がる。

千畳敷の側で民宿を経営している方に青森県産のりんごをご馳走になった。りんごを頂くと、自分が今、青森県にいるという事実に改めて気付かされる。

この日の昼食は鰺ヶ沢町でとる。鰺ヶ沢はヒラメが有名らしくヒラメの漬け丼を食べた。たんぱくな身質だが、旨味があって美味しい。漬け丼の漬け汁と柚子胡椒の相性は抜群だ。

実は鰺ヶ沢にはかつて世間の人気者になった「わさお」がいる。現在は12歳。犬で12歳というと高齢犬の部類に入り「わさお」はいつも寝ていた。本来ならばそっとしておかなければならないのだが、他の観光客は起こすのに躍起になっていた。

犬を可愛がるのは良いことだが、犬の気持ちや状況も考えて可愛がらなければならない。そのような状況で見物させる飼い主も飼い主だが、観光客側のモラルも問われる。

途中に見えた津軽富士こと岩木山である。晴れていれば手前の田んぼとあいまって美しく見えたことであろう。

弘前市内についてまずはアップルパイを食べた。弘前市では有名なアップルパイらしい。中身もパイ生地もすべて美味しくこぼさず食べるのに苦心した。

弘前といえば弘前城。このあたりは戦国後期の戦国大名津軽為信によって発展した。

弘前城の石垣は現在、修復工事中で天守だけ石垣から移動させている。レールを使って天守だけ移す技術があるらしく、天守が動いている姿を見ればかの津軽為信とはいえ驚嘆したはずである。

弘前市内でも地元の方に「津軽のりんごは美味しいから」という理由でりんごを頂いた。津軽の方たちのりんご愛はとても深そうである。

6日目は弘前市内から十和田湖へ抜ける。

十和田湖まで弘前市内から1000m程あがらなければならない。しかし、斜度もそれほどきつくなくなんなく登り終えた。

十和田湖はきれいな場所ではあるが、店も少なく人が多い割に閑散とした印象を受ける。湖岸にはいくつか廃墟となったホテルやレストランも多い。美しい場所なだけにもったいなく思う。

十和田湖から目と鼻の距離に奥入瀬渓流がある。奥入瀬渓流は日本屈指の渓流である。短い区間に滝があったと思ったら穏やかな流れもあり、川の様々な一面を見せてくれる。

1日の終わりは十和田市内。十和田にはかつてB-1グランプリで金賞を獲った「十和田バラ焼き」というグルメが存在する。バラ焼きは牛のバラ肉と玉ねぎを、すき焼きのタレのような味のするタレで焼いて食べる。甘くて少し塩辛くてご飯を食べずにいられない。

なんだかんだで6日目も100km/1000mアップの長丁場だった。