頭の上の蝿を追え

しがない某京大生が日常を綴る

中山道中車輪栗毛3日目 part1

この日は奈良井宿の付近まで走ろうと早起きするつもりだったのだが敢えなく絶起。程々の地点で泊まろう。

昨日の脚の痛みなど嘘だったかの如く体にはどこも違和感がない。ぐっすり睡眠を取り体調は万全。

3日目で最初に悩んだこと。それは「恵那峡、上から見るか下から見るか」。2日目に恵那峡を下から眺めたのだが、上からも眺めたい。結局上から眺めることにし少し多めに漕ぐことにした。

しかしここで問題が起きた。

私は自転車の案内アプリとして自転車ナビタイムを使っている。ナビ通りに従って進んでいたのだが行き止まりにぶつかった。どうやらかつてはここの行き止まり地点に橋がかかっていたようだ。

自転車ナビタイムからグーグルマップに切り替え別の道を探す。どうやら自転車ナビタイムは地方の道に関しては弱いらしい。世界を股にかけたグーグルは日本の細かい道まで、一体どうやって情報を仕入れているのか非常に不思議である。

少し道に苦労しながらなんとか恵那峡展望台に到着した。

恵那峡木曽川の一部である。今でこそダム湖が完成したことで穏やかな流れが形成されているがかつては木曽川の荒々しさが人々を悩ませた。明治時代、その水力を活かす目的で福沢桃介という人物がダムを作り水力発電所を建設した。それがきっかけで東海地方屈指の景勝地へと発展した。福沢桃介は木曽川流域一帯にダムを作り様々な形でその痕跡を残している。

人が手を加えたことで美しい峡谷が作り出されたと考えると「自然とはなにか?」と考えさせられてしまう。

 

次の目的地である馬籠宿に向かう途中「落合の石畳」を通る。「落合の石畳」も十三峠と同様、江戸時代からそのままの状態で保存された区間がある。パンクに細心の注意を払いながらひたすらに進む。

落合の石畳を過ぎてしばらくするともう馬籠宿。

馬籠宿は中山道の宿場の1つ。古い町並みが今も残る。中山道には観光地として有名な宿場が3つある。1つは馬籠宿、残り2つが妻籠宿と奈良井宿だ。その3つの宿場のうち最も「美しい」と思えた場所が馬籠宿である。理由は単純。それは山の景色と古い町並みが見事な調和を見せてくれるからだ。

ずっと坂が続き坂の両脇に日本家屋が立ち並ぶ。江戸時代の人々はかなりの健脚だったのだろう。「よくこんな場所に宿場を作るよな」と関心した。

馬籠宿は人が多いもののどこか落ち着いた雰囲気がある。日本昔ながらの町並みは本能的にノスタルジーを感じているのか、とても居心地が良い。

しかし私は寝坊したことを忘れていなかった。早々に馬籠宿をでる。

馬籠宿を出るとき道に迷った。どうやら馬籠宿から妻籠宿へ行こうとするには馬籠宿のメインストリートを通り抜けなければならないらしい。サイドバックをつけた自転車を引っ張り馬籠宿を通り抜けたのだが、周りが奇怪な目を私に向けているのが肌で感じられ少々恥ずかしい思いをした。普通のママチャリが乗用車とすればサイドバック付きのロードバイクなど重戦車のように思えたに違いない。

馬籠宿を抜けたのはいいが、今度は馬籠峠が待っている。馬籠峠まで自転車を漕いでいると妻籠宿まで徒歩で向かう人々に「頑張って!」と声をかけられた。お互い様である。

馬籠峠まで登ると妻籠まではもう下るだけ。その前に男滝女滝に寄る。

小さい可愛らしい滝だが、古くから信仰を集めた滝であるそうだ。

私は川や滝へ行きスローシャッターで水の流れを線のごとく写した写真が大好きである。水の躍動感をあえて殺すのだ。

3日目は寄りたいところが多く書くべきこともたくさんある。一度ここで区切ろうと思う。